
「ドリルを売るには穴を売れ」の意味とは
あなたがドリルを買おうと思っているとします。
何のために買うのでしょうか。
インテリアとして飾るためですか?
使って遊んだり、癒されたりするためでしょうか?
いいえ。
通常、何かに穴を開けるための道具として買いますよね。
つまり、お客さんが欲しがっているのはドリルで開ける穴なのです。
商売の基本は、お客さんが何を求めているかを正しく知ること。
それを象徴するのが、「ドリルを売るには穴を売れ」という言葉です。
マーケティングは、「お客さんが求める商品やサービスを作り、その情報を届け、お客さんがその価値を効果的に得られるようにする」ための戦略、仕組み、プロセスを指します。
企業だけでなく、お客さんに向けたサービスを提供する全ての人に必要な知識だと言えますね。
基本情報
著者:佐藤 義典
出版社:青春出版社
発売日:2006/12/23
ページ数:256(ソフトカバー)
Amazon売れ筋ランキング
マーケティング・セールス一般関連書籍13位
著者の略歴
佐藤 義典
早稲田大学政治経済学部卒業。
MBAを取得後、外資系メーカーでマーケティング・営業・開発・製造などの統括を経験。2006年マーケティング戦略のコンサルティング会社を設立し、代表取締役社長に就任。
読者約2万人の人気メルマガ、売れたま!の発行者としても知られる。
この本との出会い
私は副業としてブログを2つ運営しています。
しかしサービスを売る仕事をしたことがないため、ブログ運営はなかなか大変です。
最初のブログは40,00PV/月を超えているのに収益が年間数万円・・・。
そこでブログ初心者に向けた記事を読み漁った結果、どうやら効果的なマーケティングができていないことに気付きました。
ブログにもマーケティングの知識が必要だったのですね。
そしてこの本に出会って初めて、かなり回り道をしていたことを知りました。
この本は、ブログを始めてみたい方、ブログを運営しているけどなかなか収益が上がらない方にオススメです。
マーケティングの4理論
マーケティングには様々な方法がありますが、この本では本当の基礎にあたる4つの理論を紹介しています。
理論1:ベネフィット
ベネフィットとは「商品の価値」のことで、「商品によって生まれる効果」のことを指します。
これは、お客さんのニーズを知り、ニーズを満たすための商品を提供することで、マーケティングにおいて最も重要な考え方です。
例えば以下の場合、お客さんは「商品を買う」と決意します。
商品の価値>お客さんが支払う金額
自分が「何かを買おう」と考えた時のことを想像するとわかりやすいのではないでしょうか。
このベネフィットには「機能的ベネフィット」よ「感情的ベネフィット」の2つがあり、人気商品は必ずこのどちらか、もしくは両方を備えています。
機能的ベネフィット
物理的に計測しやすいベネフィットのことを言います。
例えば、「機能性」「利便性」の高いバッグや時計などを買うのがこれに当たります。
感情的ベネフィット
「デザイン」「憧れ」など、本来の商品の価値とはあまり関係のないベネフィットです。
これは「ブランド品を買った優越感」や「憧れの時計をしている魅力的な自分」を買うことがこれに当たります。
では、感情的ベネフィットはどこから生まれるのでしょうか。
人間は欲求や欲望を満たすために行動します。
欲求の分類には様々ありますが、この本ではアルダファー氏が提唱したERG理論が紹介されています。
1.生存欲求(E : existence):物質的・生理的な欲求をすべて含み、飢え、賃金、労働条件などすべてに対する欲求。
2.関係欲求(R : relatedness):自分に重要な人々(家族・友人・上司・部下・敵など)との関係を良好に保ちたいという欲求。社会的に認められたいという欲求。
3.成長欲求(G : growth):自分の環境に創造的・生産的な影響を与えようとする欲求で、これが充足されれば、人間としての充実感が得られるとされる。
マーケティングは、これらの人間の欲求を満たした対価としてお金をいただくことなのです。
理論2:セグメンテーションとターゲティング
人によって求める価値が違うため、顧客を分けて考えることをセグメンテーションと言います。
セグメンテーションは以下の2つに分けられます。
人口統計的セグメンテーション:性・年齢・居住地域などで分類。
心理的セグメンテーション:心理・行動・ライフスタイルで分類。具体的には「趣味」「嗜好」「世界観」など。
理想的には 『人口統計的セグメンテーション』と『心理的セグメンテーション』をうまく組み合わせると効果的です。
「よりたくさんの人に買ってもらいたい」と、ターゲットを絞らずに発信すると、誰の心にも響かないので失敗してしまいます。
しっかり分類して、明確なメッセージを発信することが大切です。
メッセージを絞れば絞るほど、ターゲットとなる顧客の心に響き反応が良くなります。
雑記ブログよりも特化ブログの方が良いとされているのは、こういう理由です。
ただしブログの場合は、特化ブログよりも雑記ブログの方がネタ切れしにくく、ブログを継続しやすいというメリットがあります。
1つのテーマだとネタ切れせずに書き続けられる自信のない方は、テーマを3個程度に絞ることをお勧めします。
理論3:差別化
差別化とは、競合会社よりも高い価値を顧客に提供することです。
つまり、あなたの商品でなければいけない理由を作ることです。
ブログでも、似たような記事を書いているサイトがたくさんありますよね。
他のサイトではなく、あなたのサイトでしか読めない価値を作る事が『差別化』です。
単に他の人と違うことをすればいいのではなく、あくまでも「お客さんにとって」価値がなければ何の意味もありません。
差別化は以下の3つに分類されます。
1.手軽軸:ある程度の品質のものを「安く」「便利に」提供
2.商品軸:最高品質の「製品」や「サービス」「高い効果」を提供
3.密着軸:徹底的にニーズに応える
「吉野家」「ダイソー」などが手軽軸に該当します。
これに対し商品軸に該当するのは、「シャネル」や「星野リゾート」などです。
この軸はマーケティング戦略において非常に大切なので、必ず1つに絞って下さい。
そして、一つに絞っても他の軸をないがしろにしてはいけません。
例えば、有益なことが書いてあるブログでも、フォントやデザインが崩れている記事は読みにくく、ユーザーは離れてしまいますよね。
理論4:4P
4Pとは、顧客にサービスを提供しお金をもらうための以下の4つの具体的手段のことを指します。
製品・サービス(Product)
広告・販促(Ppromotion)
販路・チャンネル(Place)
価格(Price)
この4つをしっかり考えることで、最適な販売戦略がわかってきます。
逆にこれを考えないと、行き当たりばったりのビジネスになってしまいます。
製品・サービス(Product)
何を売るのか。
つまり、どんな顧客のどのような欲求を満たすのか。
ブログでいうところの「テーマ」決めがこれに当たります。
広告・販促(Ppromotion)
あなたが提供するサービスによってもたらされるベネフィットを顧客に伝える手段のことを指します。
せっかく有益なブログを書いたとしても、その存在をしってもらわなければ誰も読みに来てはくれません。
ブログの場合、『Twitter』『Instagram』『YouTube』『にほんブログ村』『google検索順位を上げるための対策』『宣伝広告』などがこれにあたります。
販路・チャンネル(Place)
製品サービスを届ける場所のことを指します。
つまり「どこで売るか」という場所のことですね。
商品で言えば、店舗・代理店・通販・webマーケティングなどが考えられますが、副業としての情報発信だと『ブログ』『Instagram』『YouTube』などがありますね。
ブログも『はてなブログやAmebaなどのブログサービス』を利用するのか、『ワードプレスで個人ブログ』を立ち上げるのか、または一からプログラミングして作るのかなどですね。
以下のような違いがあります。
メリット | デメリット | |
ブログサービス | 簡単 サービス内で宣伝できる 運営費がかからない | サービス終了のリスクがある 広告の制限 |
ワードプレス | 広告が自由 初心者でも利用可 | レンタルサービス・ドメインなどの経費が掛かる |
プログラミングで作成 | 自由度が高い | 高いプログラミングスキルが必要レンタルサービス・ドメインなどの経費が掛かる |
価格(Price)
顧客はその価値で「モノの高い・安い」を判断しています。
ブログによって何を売りたいかは様々だと思いますが、しっかりと商品を買った場合のメリットを伝えていないのに、バカ高い商材を売ろうとしているブログは印象が悪いですよね。
売りたいものの価値をきちんと伝えた上で、適正な値段の商品をおすすめするのが大切だということです。
この4つは全て連動して考えることが重要です。
まとめ
マーケティングとは、顧客のニーズを知ってしっかりと欲求を満たすことです。
この本で紹介している方法は以下の4つでした。
1.ベネフィット
お客さんにとっての価値を考えること。
ブログに置き換えると、
「記事を読むことで必要な情報が手に入り、自分で調べる時間・手間が省けるか」
「あなたのお勧めする商品で、お客さんの欲求が満たされるか」
2.セグメンテーションとターゲティング
誰があなたの商品を買ってくれるのか。
しっかりと顧客を分けて、ターゲットを絞る事。
全ての人をターゲットにすると誰にも刺さりません。
ターゲットを絞る程、あなたの言葉が胸に刺さります。
3.差別化
あなたの商品でなくてはダメな理由を作ること。
顧客のニーズをしっかり考えて、他の商品(ブログ)との差別化を図って下さい。
4.4P
「ベネフィット」「セグメンテーションとターゲティング」「差別化」と考えた上で、それをどのように提供していくか。
以下の4つを踏まえて戦略を練って下さい。
製品・サービス(Product)
広告・販促(Ppromotion)
販路・チャンネル(Place)
価格(Price)
実際私がブログを立ち上げるにあたり、「どんなテーマのブログをどのような場所で立ち上げ、どのように宣伝するか」ということは考えました。
けれどマーケティングとしては特別意識しておらず、そのため一つ目のブログは雑記から始まりました。
結果的に雑記ブログはつまづきました。
もうやめてしまおうと思った時に、たまたま思いついたテーマがバズったため、現在も発信を続けています。
ブログ立ち上げの前にこの本を読んでいたら、もうちょっと回り道をせずに済んだのかなぁと思います。
これからブログを立ち上げる方は、この本を読んでマーケティングの基本を押さえて、きちんと戦略を練ってくださいね!

みなさんのGOOD LIFEを願って。